大家好!
今回は特殊な可能補語について解説していきます。
「大不了」「来不及」「买不起」などはよく使う表現ですが、その意味は今までの可能補語(方向補語や結果補語)からは推測するのが難しいですね。
それでは一体どんな意味と用法があるのか見ていきましょう!
【中国語】特殊な可能補語とは
特殊な可能補語とは、方向補語や結果補語が単純に機能しているとはいいがたい決まったフレーズの可能補語のこと
何が特殊なのかということについては主観によりますが、この記事では、はじめから学ぶ可能補語①とはじめから学ぶ可能補語②で扱いきれなかった表現方法についてを説明していきます。
まだ読んでいないかたはそちらをチェックしてくださいね。
【中国語】特殊な可能補語の意味と用法
今回は、以下の表現について扱います。
- 少不了/受不了
- 摸不得/怪不得
- 来得及/来不及
- 比不上
- 买不起/看不起
- 说不定/说不准
- 吃不上/吃不下
- 说不上来
いずれも基本的には、「得/不」の二つの表現があります。また、とりあげた中には「方向補語の派生義」で扱ったものもあります。別記事も参考にしてみてください。
少不了/受不了
<動詞> + <形容詞> + 得/不了で、「行為が実現しうるか」を表します
形容詞が付く場合には、「~はずだ/はずがない」を表すことが多いです。一歩進んで、“~不了”の形で「~であっては困る」を意味する場合もあります。
- 少不了 ・・・ 少ないはずがない(多い)
- 受不了 ・・・ 受け入れられない(つらい)
例文:
“我看今后的麻烦事应该少不了。”
―私が思うに、今後の面倒はきっと少なくないはずだよ。
“这样的工作是少不了他。”
―こういう仕事には彼が欠かせない。
“没什么大不了。”
―大したことはない。(なんでもないよ)
※決まった言い方
”我男友出轨了,我受不了了/(ㄒoㄒ)/~~”
―彼氏に浮気されたの。私、つらい。
“下次的派对,我参加不了啦!真遗憾啊!”
―次回のパーティ、参加できなくなりました!本当に残念だぁ!
摸不得/怪不得
<動詞> + 不得の形で、「できない」を表し、特にその動作行為の禁止さえも表す用法
例文:
“老虎屁股摸不得。”
―虎のしりは撫でられない。(危なくて手が出せないことの喩え)
“恨不得现在就冒着大雨去找他。”
―今すぐ大雨をものともせずに彼を探しにいきたくてたまらない。
※“恨不得”…「~できないのが恨めしい」
“都是我。怪不得他”
―私の性です。彼をとがめてはいけない。
※“怪不得”…「とがめることができない。」
“外面正在下雨呢。怪不得这么闷热。”
―外で雨が降っている。道理でこんなに蒸し暑いんだ。
※“怪不得”…「どうりで~」「~するのも無理はない」
来得及/来不及
それぞれ慣用表現として成立しています。
- 来得及 ・・・間に合う
- 来不及 ・・・間に合わない
例文:
“你还在家里,来得及上课吗?”
―あなたはまだ家にいるけど、授業間に合うの?
“哪怕现在出门也来不及呀。不如在家里刷抖音。”
―たとえ今玄関を出ても間に合わないよ。家でティックトック見るほうがいい。
―
比不上
これも慣用表現で「~にはかなわない」と表します。
比得上の形で反対に「肩を並べられる」を意味しますが、反語や否定を伴って「~にかなうはずがない」といった意味を表すことが多いです。
例文:
“我中文能力还差得远呢。还是比不上他。”
―私の中国語能力はまだまだですよ。やっぱり彼にはかなわないよ。
“他这个优秀演员没人能比得上。”
―彼のような優秀な俳優にかなうものはいない。
※「没有人 + 文」については連動文を参照
买不起/看不起
<動詞> + 不起 は、「ある条件や制限があってできない」という意味を表します。
- 买不起 ・・・「買えない」(値段が高すぎる)
- 看不起 ・・・「軽く見る、軽蔑する」(見るに堪えず見れない)
そのほか慣用表現として、「了不起」(際立っている、すごい)があります。
例文:
“这个东西太贵了,咱们吃不起哟。”
―これは高すぎて、私たちは食べれないよ。
“那块表,穷人的我买不起。”
―あの腕時計、貧乏人の私は買えない。
“你不要看不起别人。”
―ほかの人を蔑んではいけない。
※“瞧不起”ともいう
“你真了不起啊!”
―お前、本当にすげぇよ!
说不定/说不准
说不定、说不准どちらも「はっきり言えない」「言い切れない」ということを表します。
これは、“定”や“准”の「定まる」という意味に起因するものです。さらに拿不定「しっかりとつかめない」(≒悩んでいる)という慣用表現もあります。
例文:
“我说不定他来不来。”
―彼がくるかどうか言い切れない。
“大概没有问题吧。不过小小的部分,我还说不准”
―だいたい問題ないでしょう。でも細かいところは、まだ確かなことが言えない。
“我还拿不定主意。”
―まだ考えを決めきれない。
吃不上/吃不下
“上”は「実現」を表し、“不上”は「~できない」を表します。
※「方向補語の派生義」も参考に。
“下”は「収まる」を表し、“不下”は「収まりきらない」を表します。
- 吃不上 ・・・「ありつけない」
- 吃不下 ・・・「食べれない(おなかがいっぱい)」
例文:
“我这个穷人吃不上这种东西呀。 ”
―私のような貧乏人はこういうものを食べれないのよ。
“我吃的太多了,吃不下了。 ”
―たくさん食べすぎて、食べきれなくなった。
“你一整天一直都在玩手机,肯定考不上大学。 ”
―あなたは一日中スマホで遊んでいるんだから、きっと大学に受からない。
“小明当天早晨才发现旅行袋装不下这么多东西。 ”
―明くんは当日の朝になってやっとこんなにも多くのものは旅行バックに入りきらないことに気付いた。
说不上来
(言葉や考えが)上がってこないことを表します。“上来”の方向補語の意味が伝わってくるような表現ですね。
例文:
“你的名字,我一时说不上来啊。抱歉。”
―あなたの名前、とっさに言えないや。ごめん。
“面试时,回答不上来问题怎么办?”
―面接の時、問題に答えられないのだけどどうしよう?
“这个问题,你回答得上来吗?”
―この問題、あなたは答えられますか?
※web上の辞書には「想不上来」が載っているかもしれませんが、あまり使われない表現です。(北京大学コーパスでもヒットなし)「浮かんでこない」を言いたいときには、“想不出来”を使うのが無難です。
まとめ:特殊な可能補語は、慣用表現が多いのでフレーズから学んでいく!
これまでに扱ってきた可能補語については、はじめから学ぶ可能補語①やはじめから学ぶ可能補語②を参照してください。
文法事項を1つ1つ積み重ね、中国語マスターへの道を進みましょう!