中国語

【中国語文法基礎】方向補語の派生義|「上」「出」「起」「下来」等

方向補語の派生義

大家好!

今回は、方向補語の派生義について説明していきます。「上」「出」「起」「下来」「下去」「出来」「过来」「起来」について、権威ある商務印書館「実用現代漢語語法」(劉月華ら,2019)の説明に沿ってわかりやすく解説していきます。

【中国語】方向補語の派生義とは

方向補語の派生義とは、単純方向補語、複合方向補語の主な意味である方向性から派生した意味のこと

いくつかの派生義は可能補語の形で使われることが多いです。よく使う可能補語については別記事でもまとめて解説しています。

派生義をもつ方向補語を「実用現代漢語語法」の最新版に沿って一つずつ解説していきます。

【中国語】方向補語の派生義を一つずつ解説

「上」「出」「起」「下来」「下去」「出来」「过来」「起来」について説明します。

なかでもよく使う用法のみを扱っていきます。

それが理解できていればその他の細かい用法も語感で推測できるという学習法です!

「上」の派生義

方向補語 上

主な用法は、

  1. 「開⇒閉」
  2. 「目的の実現」

です。

①「開⇒閉」を意識する

结果意义(一)――基本结果意义:表示接触、附着以至固定。(基本の結果意義:接触、くっついて固定されることを表す。)

超簡単にいうと「開⇒閉」がなされてそのままの状態がしばらく続くことを表します。

例文:

“先闭上眼睛再睁开。”
―まず目を(しっかりと)とじてから、(しっかり)開きます。

“小明合上书,凑过来了。”
―明くんは本を(しっかりと)閉じて、近寄ってきた。

“老师把门关上了。”
―先生はドアをびたっと閉じた。

“我不知道怎么能把灯关上。”
―どうすれば照明をしっかりと消すことができるのかわからない。
※電気を切る「開⇒閉」にも使える!

“请把手机关上或转到静音。”
―携帯をお切りになるか、マナーモードにしてください。

“我今天恐怕赶不上第一节课,你能不能帮我转告老师一下?”
―私は今日一限に間に合わないかもしれないから、ちょっと先生に伝言してもらってもいい?

※個人的に次項の分類に当てはまる気がするのだが、参考文献によるとこの分類になるようだ。

そのほかよく使うものには「看上」(気に入る)「喜欢上」(好きになる)があります。

②「目的の実現」を意識する

结果意义(二):表示实现了预期的或希望达到的目的。(予測したこと、あるいはかなってほしい目的を達成したこと表す。)

超簡単にいうと「実現」を強く意識する表現です。

例文:

“他考上了一所理想的大学。真了不起。”
―彼は理想の大学合格した。本当にすごい。

“我们什么时候才能用上新冠疫苗?”
―我々はいつになったら新型コロナのワクチンが使えるの?

“最近卖的人太少了,我买不上自己想要买的股票。”
―最近売る人が少なすぎて、自分が買いたい株が買えない。

「出」の派生義

方向補語 出

主な用法は、「ぽっと出る、はっきりする」

「ぽっと出る、はっきりする!」

结果意义:表示从无到有,由不清楚到清楚,由隐蔽到显露。(“無”から“有”に、不明瞭から明瞭に、「隠れ」からあらわに)

超簡単にいうと「ぽっと出る、はっきりする」を意識する表現です。

例文:

“脑子里闪出了一个念头。”
―ひとつ閃きました。

“「束手无策」是形容想不出办法的成语”
―束手無策(≒なすすべを知らない)は、方法が思い浮かばないことを形容する成語です。

“为什么我们学校难以培养出优秀的人才”
―どうして私たちの学校は優秀な人材を輩出することが難しいのか。

“听说,中国大多数人听不出word和world的区别。”
―聞くところによると、中国の多くの人はwordとworldの違いを聞き分けることができないらしい。

※同じ意味で文法上の拘束が少ない“出来”を用いることもあります。

「出来」の派生義

基本的な意味は「出」と同じですが、文法上の拘束が少ないので、特に文末においてはこちらが使われることが多いです。文法上の拘束については、複合方向補語をチェック!

主な用法は「ぽっと出る、はっきりする」

「ぽっと出る、はっきりする」

结果意义:表示从无到有,由不清楚到清楚,由隐蔽到显露。(“無”から“有”に、不明瞭から明瞭に、「隠れ」からあらわに)

“出”と同じく「ぽっと出る、はっきりする」を意識します。

例文:

“我看不出来你是外国人。”
―あなた、外国人に見えないよ。

“问题太简单,大家也都回答出来了。”
―問題は簡単すぎて、みんなもしっかりと答えられた。

“请把自己的意见说出来。”
―どうぞ、自分の意見を言ってください。

“这个问题很复杂,我想了半天才想出答案来。”
―この問題は複雑で、ながらく考えてやっとこたえが思い浮かんだ。

「起」の派生義

方向補語 起

主な用法は、

  1. 「繋ぐ!結ぶ!」
  2. 「~しはじめる」

です。

①「繋ぐ!結ぶ!」

结果意义(一):表示链接、结合以至固定。(繋いだり、結合したりして固定することを表す。)

超簡単にいうと「繋いだり、結んだりして定着する」ということ。

例文:

“如何快速建立起和领导之间的好关系?”
―いかにして早くリーダーとの良い関係を築き上げるか?

“他大学毕业后,自己办起了一个很大的公司。”
―彼は大学を卒業してから、自分で大きな会社を開いた。

“一看这条新闻,我就联想起了那天发生的事情。”
―このニュースを見て、あの日起きたことを連想した。

②「~しはじめる」

状态意义:表示进入新的状态,只用在动词后。(新しいフェイズに入ることを表す。動詞の後にしかつかえない。)

つまり、日本語の「~し始める」に近い意味をもつことが言えます。

例文:

“外面时不时响起雷声。”
―外でときどき雷が鳴っている。

“会场里响起了雷鸣般的掌声。”
―会場には嵐のような拍手が巻き起こった。

“他们深深怀疑起自己的民族认同感。”
―彼らは深く自身のエスニックアイデンティティを疑い始めた。

“自学中文应该从哪里学起?”
―中国語の自学自習はどこから学び始めるべきか?

そのほかに、「キャパがなくてできない!」という非常によく使う用法もありますが、それは特殊な可能補語で説明しています。

「起来」の派生義

基本的な意味は「起」と同じですが、「・・・してみると」を表すこともあります。また、状态意义(状態意義)の用法が形容詞のあとにもつかえる点が大きく異なります。また、これらも複合方向補語なので、「起」よりも、(特に文末表現において)文法上の拘束が少なく、よく使われます。

主な用法は、

  1. 「繋ぐ!結ぶ!」
  2. 「・・・してみると!」
  3. 「~しはじめる」

です。

①「繋ぐ!結ぶ!」

「起」と同じく、「繋いだり、結んだりして定着する」ということ。

例文:

“那件事,我突然想起来了”
―あのことは、突然思い出した。

“A和B结合起来的话,应该会产生c的。”
―AとBがくっついたら、Cが生まれるはずだ。

“把桌上无关的东西都收起来。”
―机の上の関係ないものはすべてしまってください。

“你给他这个吧。他一定会打起精神来的。”
―彼にこれをあげな。彼はきっと元気になってくれるはずだよ。

②「・・・してみると!」

「~してみると」「~したら」という表現で、基本時に目的語をあとにおくことができません。

例文:

“这道菜看起来很好吃,可吃起来却不怎么样。”
―この料理は(見た感じ)美味しそうだが、食べてみたらそうでもなかった。

“说起来容易,做起来难。”
―言うのは簡単だけど、やってみると難しい。

※この分類は参考文献に明記なし。

③「~しはじめる」

状态意义:表示进入一个新的状态。用在动词后时,表示动作开始进行——由静态进入动态;用在形容词后,表示新的状态开始。(新しいフェイズに入ることを表す。動詞の後に使うときは、動作がはじまること―静的状態から動的状態になることを表す。形容詞の後に使うときは、新しい状態がはじまることを表す。)

つまり、これも「~しはじめる」という意味に近いです。

目的語の位置に気をつけましょう!

例文:

“下起雨来了。”
―雨が降ってきた。

“大家都笑起来了。”
―みんなは大声で笑い始めた。

“路上的人多起来了。”
―道ゆく人が多くなってきた。

「下来」の派生義

主な用法は、

  1. 「分離」
  2. 「定まってくる」

です。

①「分離」

结果意义:表示分离以至固定,着眼于与主体分离的次要物体或物体的一部分。(分離して固定することを表し、主体と分離する副次的な物体または物体の一部に着目する。)

超簡単に言えば、「離れたものがのこる!」ということ

例文:

“隐形眼镜怎么摘下来对眼睛的伤害小?”
―コンタクトはどうやって取り外せば目への害が少ない?

“我想留下来陪你生活。”
―私は残ってあなたと暮らしたい。

“请把字写下来”
―字を書き残してください。

“今年暑假的安排还没定下来。”
―今年の夏休みの予定はまだ定まっていない。

②「定まってくる」

状态意义:表示由动态转入静态,比“下”更常用。(動的状態から静的状態に変化することを表し、“下”よりもよく使う。)

超簡単に言えば、「ある状態に定まってくる」ということ。

例文:

“天黑下来了。”
―空が暗くなってきた。

“前面的大巴突然停下来,走出来了几个乘客。”
―前の大きなバスが突然止まって、何人か乗客が出てきた。

“「心静自然凉」是心平静下来,就会感觉很凉快的意思”
―「心静自然凉」とは、心が静まれば涼しく感じるはずだという意味です。

「下去」の派生義

主な用法は「継続する」

「継続する」

状态意义(二):表示已经开始的动作状态继续进行或存在,可以构成可能补语。(すでに始まった動作状態が継続している、あるいは存在していることを表す。可能補語を形成することできる。)

超簡単に言えば、「継続する」「~しつづける」という意味

例文:

“因为有你,我才能活下去。”
―あなたがいるから、私は生きていける。

“你说的话真无聊,我听不下去了。”
―あなたの話は本当につまらなくて、聞いてられないよ。

“没事没事,你说下去吧。”
―大丈夫大丈夫、(話し)つづけてください。

”这些菜都很难吃,我吃不下去。”
―これらの料理は食べにくくて、(これ以上)食べられない。

“你照这样学下去的话,下次考试的时候就能获得好成绩。”
―このように勉強し続ければ、今度の試験の時にはいい成績がとれる。

また、関連して“这样下去”という言い方もあります。

“你这样下去是不行的。”
―こんなことをしていてはいけません。

「过来」の派生義

主な用法は、「もどってきたぁ!」

「もどってきたぁ!」

结果意义(二):表示恢复或转变到正常的、积极的状态。(回復もしくは、「正常」や「積極的」な状態に変化することを表す。)

超簡単に言えば、「もどってきたぁ!」という感覚を表します。

例文:

“他喝了一杯酒就喝醉了,可一晃就醒过来了。”
―彼はお酒を一杯飲んで酔ってしまったが、あっという間に意識がしっかりした。

“病已垂危的小明现在竟然完全恢复过来了。”
―病がすでに危篤状態であった明くんは今はなんと完全に回復しきっている。

“坏习惯都是改不过来的。”
―悪い習慣というのは、おしなべて改善できない。

まとめ:可能補語の派生義を覚えるには、まずはよく使う用法を身に着け語感を養うのがおすすめ。

短絡的に考えれば、どれもこれも方向から派生したものと考えられますから、基本の意味や用法を押さえることでどんな表現にも対応できる語感を養いましょう。

分解したものを分類していくことも、総体を見つめることもどちらも大事!

文法事項を1つ1つ積み重ね、中国語マスターへの道を進みましょう!

参考文献:劉月華・潘文娯・故韡(2019)『実用現代漢語語法(第三版)』第五章補語第二節,pp.543-578,商務印書館

ABOUT ME
唐
Webメディア外大.net 言語地域記事 総合ディレクター。 これまでに数々の学生団体の運営を通し、NHKやニュースZEROなど国内メディアに多数出演経験あり。 2018年に日本語教育能力検定、HSK6級ともに一発合格。北京清華大学に留学経験あり。 現在は、国内外の日本語教育機関に携わり、中国語母語話者向けの日本語教師を担当している。 タピオカが主食。 ※中国語ピンイン担当:後輩ayaくん