大家好!
ここでは「是~的」構文の意味と用法について説明していきます。
「あなたはいつ来たんですか?」はなんと言うのでしょうか?
さっそく見ていきましょう。
【中国語】「是~的」構文とは
「是~的」構文とは、すでに行われた事象に対して、話し手と聞き手の双方が共通認識を持っている状況下で、何かを取り立てて述べる際の表現方法です。
取り立てるものとしては、「時間」「場所」「方法」「対象」「目的」「条件」などがあります。
基本形:
主語 + “是” + 「取り立て」 + <動詞> + “的”
目的語がある場合は、
- <動詞> + <目的語> + “的”
- <動詞> + “的” + <目的語>
のいずれか。ただし、最後の動詞の直後が「人称代名詞」 or <方向補語> + 場所では、必ず①を使用する。
また、主語を取り立てることもできます。
“是” + <主語> + <動詞> + “的”
ポイント:
- <目的語>の位置に気を付ける。
- “是”は省略可能。(否定⇒省略不可)
例文:
“你一个人去的吗?”
―あなたは一人で行ったんですか?
“不是,跟朋友一起去的。”
―いえ、友達と一緒に行きました。(行ったんです。)
日本語の「のだ文」によく似た表現です。
日本語の「のだ文」と中国語の「是~的」構文
すでに起こった状況を前背景化させ、その事象と関連させて事情説明(理由を述べるなど)をする際によく使われる表現のことです。「だ」で言い切るときには、のだ/んだ の形で現れるためこの名前がついています。
たとえば、以下の会話で効果的に使用されています。
A:「あなたたちはどうやって来たんですか?」
B:「地下鉄で来ました。」
この会話では、Bとその仲間がすでにAのもとに来ている状況で、「どうやって」という関連した深い事情について尋ねている。これを中国語に訳すと以下の通り。
A:「你们是怎么来的?」
B:「坐地铁来的。」
Aのセリフで「のだ文」が使用されているが、Bのセリフでは「のだ文」が使用されていない。しかし、Bの中国語訳では、「是~的」構文が使用されている。Bが日本語で「地下鉄で来たんです。」と言っても間違いではないが、なにか含みがあるような感じがする。やはり、単純にその方法について答えるには、「地下鉄で来ました。」というのが自然な感じがする。
このように、日本語の「のだ文」と中国語の「是~的」構文は完全に一致しているわけではないので、双方の学習者が少し混乱してしまう文法項目なんです。
【中国語】「是~的」構文の用法
ここでは「是~的」構文の用法について説明します。
基本形:
主語 + “是” + 「取り立て」 + <動詞> + “的”
「時間」「場所」「方法」「対象」「目的」「条件」「主語」などを取り立てます。
“是”の省略
肯定形 ⇒ 省略可能
否定形 ⇒ 省略不可
以降、目的語があるかどうかに分けて説明します。
目的語がない場合
主語を取り立てるかどうかで語順が変化します。
主語以外を取り立てる
基本形通りで問題ありません。
主語 + “是” + 「取り立て」 + <動詞> + “的”
例文:
“你是什么时候来的?”
―あなたはいつ来たんですか?
“我是前天来的。”
―私は一昨日来ました。(来たんです。)
“你们昨天怎么回去的?”
―あなたたちは、昨日どうやって帰っていったんですか?
“我们坐出租车回去的。”
―私たちは、タクシーに乗って帰っていきました。(いったんです。)
主語を取り立てる
“是” + <主語> + <動詞> + “的”
例文:
“不是我做的,而是我妈做的。”
―やったのは私じゃなくて、母だ。
目的語がある場合
動詞の直後が「人称代名詞」or 「<方向補語> + 場所」であるかどうかで<目的語>の位置が変わります。
- <動詞> + <目的語> + “的”
- <動詞> + “的” + <目的語>
※主語を取り立てる場合は、“是” + <主語>
①でも②でもいい場合
目的語が「人称代名詞」か「<方向補語> + 場所」ではない場合。
例文:
“你们是在哪里拍的这张照片?”
―あなたたちはどこでこの写真を撮ったの?
“你们是在哪里拍这张照片的?”
―あなたたちはどこでこの写真を撮ったの?
“我们是在北京大学里拍的。”
―私たちは北京大学で撮りました。(撮ったんです。)
①しか許されない場合
目的語が「人称代名詞」か「<方向補語> + 場所」である場合。
例文:
“你昨天在哪里见他的?”
―あなたはどこで彼に会ったの?
“我在那个公园里见他的。”
―私はあの公園で彼に会いました。
“我是今天早上八点回到东京的。”
―私は今朝8時に東京についたんです。
“了”を使った文と「是~的」構文の違い
さて、“了”を使った文と「是~的」構文の違いについては説明できますか?
基本的な違いは以下の通り。
“了” ・・・ 新情報を意識
「是~的」 ・・・ 共通認識、旧情報を意識
では、以下の文を正しく訳せますか?
違いを見分けろ!実践編
まずは日本語を見てみます。
A:「冬休みはどこに旅行にいきましたか?」
B:「中国に行きました。」
A:「一人で行ったんですか?」
B:「いや、友達と行きました。」
A:「中国のどこに行ったんですか?」
B:「杭州です。」
中国語に訳せますか?
正解は・・・
A:「寒假去哪里旅行了? 」
B:「去了中国。」
※「去中国了。」というネイティブも
A:「一个人去的吗?」
B:「不是,和朋友一起去的。」
A:「去了中国的哪里呢?」
※「去中国的哪里了? 」というネイティブも
B:「杭州。」
ちょっとした解説:
最初の会話で「中国に行った」という新情報がでてくるが、それをその後前背景化させて、「一人でいったのかどうか」を聞いています。そのため初めは「了」が使われますが、次の会話では「是~的」構文が使われます。そして最後、じゃあ「中国のどこにいったか?」という共通認識のない話題になると「了」が使われることになります。
話題を示す「了」は文末の「了」を参照。
最後のAの質問は
「你去的中国的什么地方啊?」
などと言うことができますが、これは
「你去的(是)中国的什么地方啊?」
という分裂文と捉えられ、「是~的」構文と言えません。また、この質問の返しには、
「去的杭州。」
という表現を使うことができます。
「我们是去杭州的。」はダメ?
「杭州に行ったんです。」という日本語に合わせて「我们是去杭州的。」とした人がいるかもしれません。この表現は文法的には間違っていないのですが、「是~的」構文とは言えません。
基本的に「我们是去杭州的。」といえば、「私たちは、杭州に行く人です。」を表します。つまり、バスなどを待っているときに「あなたたちはどこ行くの?」と聞かれたときに、「我们是去杭州的。」と答えます。
また、「我们是去的杭州。」はどうかというと、これは「行く」ということを取り立てるようで、文脈として大変不自然な「是~的」構文となります。
日本語で「~んです。」となっているものを、中国語に訳すときは、なんでもかんでも「是~的」構文にするわけにはいかないことがここでもわかります。
【中国語】「是~的」構文の例文
最後に例文を見てみましょう。
“你是在哪里买的这张票。”
―あなたはどこでこのチケットを買ったんですか?
“我在网上买的。”
―ネットで買いました。(買ったんです。)
“你们昨天晚上在那个派对上吃的什么?”
―あなたは昨日の夜、そのパーティで何を食べたんですか?
“我们是吃的寿司。”
―私たちは寿司を食べました。(食べたんです。)
“这部电影什么时候摄影的?”
―この映画はいつ撮影されたんですか?
“1998年摄影的。”
―1998年に撮影されました。(撮影されたんです。)
“我下午三点回公司来的。”
―私は午後三時に会社にもどったんです。
“我不是为了发财从事当前事业的。”
―私は財を築くために今の職に従事しているわけではないんです。
まとめ:「是~的」構文は、既知情報を深堀して何かを取り立てたいときに使う表現
すでに起こった事象についてしか使えないということは忘れないようにしましょう。
使うタイミングについては少々複雑なところがありますが、語順については極めて規則的でわかりやすいと思います。
文法事項を1つ1つ積み重ね、中国語マスターへの道を進みましょう!