大家好!
今回は中国語の使役表現について学習します。
「让」「叫」の使役表現の意味と用法を説明して、そのほかによく使う「使」「令」「请」「派」「催」「要求」「命令」の意味についても説明します。
さっそく見ていきましょう!
【中国語】使役の表現とは
使役の表現とは、「AにBをさせる」という表現のことです。
一種の謙語文にあたります。謙語文とはある動詞の目的語がそのあとの動詞句の行為者である文のことです。使役表現の基本形を見てその意味を確認してみましょう。
基本形:
<主語> + <使役動詞> + <目的語> + <動詞>
意味:
<主語>は<目的語>に<動詞>をさせる。
例文:
“我叫他来。”
―私は彼に来させる。
“让你久等了。”
―長らくお待たせしました。
「叫」と「让」は入れ替え可能な場合が多いです。
また、英語のmakeのように機能するので以下の言い方も可能です。
“这真让我们高兴”
―それは本当に私たちを喜ばせました。
それでは詳しい用法について見ていきましょう。
【中国語】使役の表現の用法
まず使役表現の用法について説明します。
基本形:
<主語> + <使役動詞> + <目的語> + <動詞>
肯定形、否定形、疑問形の作り方
肯定形の例文:
“李老师叫你去办公室找张老师。”
―李先生はあなたにオフィスにいって張先生を探すようにいう。
使役動詞は、基本的に普通の動詞と同じ位置に登場します。
※“叫”は、慣例的に「~させる」より「~するように言う」と訳すことが多いです。
否定形の例文:
“李老师没叫你去办公室找张老师。”
―李先生はあなたにオフィスにいって張先生を探すように言わなかった。
否定形では、文脈によって“不”“没”を用います。“不”を使うときは、
“QQ空间能设置不让别人进。”
―QQ空間は他の人を入れないように設定できる。
と断定・禁止を示すときが多いです。
疑問文の例文:
“李老师叫你去办公室找张老师了吗?”
―李先生はあなたにオフィスにいって張先生を探すようにいった?
“你们不想让他参加这周末的派对吗?”
―あなたたちは彼に今週末のパーティに参加させたくないのですか?
疑問の表現については、文末に“吗?”を用いるようにしましょう。
アスペクト助詞“了”“着 ”“过”は直後に置かない
基本的に使役動詞のあとにアスペクト助詞を置くことはありません。
「私は明くんにスーパーに行ってリンゴを買わせた。」
〇“我叫小明去超市买了一些苹果。”
× “我叫了小明去超市买一些苹果。”
これは実現・完了のアスペクト助詞でも説明した通り、謙語文においては連動文と同じく“了”は最後の動詞のあとに置きます。
アスペクト助詞を使役性の動詞の直後に置く場合
これは実現・完了のアスペクト助詞“了”に限った話ですが、「原因・結果を示すときには“了”が使用できる」ということです。
北京語言大学のコーパスで調べてみると以下のような例が見つかりました。
叫了工匠来油漆门窗,粉刷墙壁,全宅焕然一新。
引用:『连环套』张爱玲(1944)
「職人を呼んでドアや窓をペンキで塗り、壁を塗り替えさせたから、家中がぱっと一新した。」という意味です。それから、
他们派了一个人看了看 路的状况,然后核算出修这条路至少要花费五万美元,
引用:『生命如歌』特雷西·基德尔(2011)
「彼らは人を派遣して道の状況を見させて、この道を修理するには少なくとも五万ドルが必要なことをはじき出させて、」
という意味です。
文学作品において、让了,请了,派了の例はいくつか確認できましたが、「让了+名詞+動詞」の例は一件もヒットしませんでした。この点からも、使役構文!と言い切るのは怖いです。(個人の感想)
参考文献:商务印书馆出版『实用现代汉语语法(第三版)』(刘月华・潘文娱・故韡,2019,p.705)
【中国語】使役の表現「叫」「让」の違いとその他の表現
ここでは、使役の表現「叫」「让」の違いとその他の表現について説明します。
使役の表現「叫」「让」の違い
「叫」と「让」の違いはほとんどなく、基本的に置き換え可能です。
「私は明くんに来させる。」
“我叫小明来。”
“我让小明来。”
しかし、「~させてください」という希望やお願いを言うときには「让」を使うことが多いです。
“让我试试。”
―私にちょっとやらせて。
“让我确认一下。”
―ちょっと確認させてください。
“你能让我们谈几分钟吗?”
―我々に数分間話させていただけますか。
”当然可以。”
―もちろんいいですよ。
これにはそれぞれの普通の動詞としての用法を確認することで理解しておきましょう。
「叫」・・・呼ぶ、叫ぶ
「让」・・・譲る、譲歩する
つまり、使役動詞として機能するときも“让”は「やらせてあげる」というニュアンスがある一方、“叫”は「本人がやりたくないことをやらせる」というニュアンスを含むことがあります。
その他の使役の表現
「叫」「让」以外の表現についても学んでいきましょう。語順は変わりません。
「使」「令 」「请」「派」「催」「吩咐」「要求」「命令」について説明します。
「使」
漢文で学習したほど硬い印象はありません。「让」「叫」の「積極的に~をさせる」という意味より、「~ということがあって、~という結果になった」を表すことが多いです。
例:
“你的话使我很高兴。”
―あなたの話は私を楽しませる。
“医护人员对我的微笑,使我感到一种安全感。”
―医療関係者の私に向けたほほえみは、私に安心感を感じさせた。
「令 」
「使」に似ているが、 “令人”と使うことが多い。
例:
“他的行为真是很难理解的,实在令人不可思议。”
―彼の行動は本当に理解しにくくて、まったく(人に)不思議だと思わせる。
「请」
「~してもらう」を表す。依頼の表現でも登場しましたが、これも謙語文の一つ。
例:
“请你再说一遍”
―もう一度言ってください。
“请他过来喝一杯”
―彼を呼んで一杯飲んでもらおう。
「派」
「(人)を派遣して~させる」を表します。
例:
“我派一个人去你家修缮屋顶。”
―私は誰かをあなたの家に行かせて屋根を修繕させます。
“愚公的精神感动了上帝,上帝派了他的两个儿子把大山背走了”
―愚公の精神は上帝を感動させ、上帝は彼の子供二人を派遣して大きな山を背負っていかせました。
※中国で有名な『愚公移山』という話です。あとに目的が続くので“了”を入れることができます。
「催」
「(人)に~するように催促する/せかす」を表します。
例:
“妈妈催我去买牛奶。”
―母親は私に牛乳を買いに行くようにせかした。
「吩咐」
「(人)に~するように言いつける」を表します。命令口調であるため、社会的地位の高い人を目的語に取ることは推奨されません。
例:
“奶奶吩咐我一定要吃午饭”
―祖母は私に必ずお昼ごはんを食べるようにいいつけた。
“房东吩咐他们把车停在这里。”
―大家は彼らにここに車をとめるよう言いつけた。
※上から目線の言い方です。そのため、様々な教材で目にする表現ですが「よく使う表現ではない」というネイティブの意見があります。が、載せておきます。
「要求」
「(人)に~するように要求する」を表します。“要”の発音に注意が必要です。
例:
“我们要求来访者留一张条子。”
―我々は訪問者にメモ書きを残すように求めています。
「命令」
「(人)に~するように命じる」を表します。
例:
“刘队长命令自己的部队跑步。”
―劉隊長は自身の部隊にランニングを命じる。
“不要命令我做任何事情。”
―私に指図しなしでください。
そのほかにも、「嘱咐」「要」「使得」「鼓励」などなどたくさんの使役動詞が存在します。
【中国語】使役の表現の例文
それでは最後にまとめて例文を確認しましょう。
“为什么你不让我去,而让他去呢?”
―なんで私に行かせないで、彼に行かせるの?
“先让我来试试,好吗?”
―とりあえず私にやらせてもらっても、いいですか?
“我妈叫我去便利店买牛奶。”
―ママは私にコンビニに牛乳を買いに行かせた。
“有一条坏消息让我十分担心。”
―ある悪い知らせが私をかなり不安にさせた。
“老师要求学生们必须用钢笔写字。”
―先生は学生たちに必ずペンで文字を書くように求めた。
“我每天都请朋友吃饭。”
―私は毎日友達にご飯をおごっている。
“平时秒回的小明这次一直都不回我,这使我很不安。”
―いつもは秒で返してくれる明くんが、今回はずっと私に返信してくれなくて、これは私を不安にさせた。
“一到深更半夜,做父母的就开始催孩子早点睡觉。”
―深夜になると、保護者は子供に早く寝るようにせかしはじめる。
まとめ:使役の表現は、謙語文の一つで、「AにBをさせる」という意味を表す。
「叫」「让」の使い方と、その違いについて理解できましたか?
そのほかの、「使」「請」「要求」「命令」といった語は日本語から類推して「使役っぽい語だなぁ」とわかると思います。
基本である「叫」「让」の使い方をしっかりとマスターしておきましょう!
文法事項を1つ1つ積み重ね、中国語マスターへの道を進みましょう!