みなさん、こんにちは!
みなさん、「はし」と発音してみてください。
「その『はし』は『箸』?『橋』?『端』?」
と思った人も多いのではないでしょうか。
同じ「はし」なのに違う言葉。
実はこの3つの言葉「アクセント」が違うんです!
今回は「アクセント」の謎に迫ります。
【日本語アクセント】アクセントって何?
アクセントの定義
では、まずアクセントの定義について見ていきましょう。
三省堂『明解言語学事典』より以下引用します。
単語の中のどこか一箇所を際立たせる現象をアクセントという。
どういうことでしょうか。
まずは東京方言で考えてみます。
たとえば、「箸が」と言うとき、「は」の部分の音が高いのがわかるでしょうか。
また、「橋が」と言うときは「し」の部分で音が高くなり、「が」の部分でまた下がります。
「端が」だと、「し」で上がった後、「が」の部分も高いままになっています。
日本語のアクセントはどこに下降の変化があるかが大事です。
日本語では、アクセントが非常に重要です。
「はし」のように、アクセントの差で指す言葉が変わってしまうことがよくあるのです。
イントネーションとアクセント
アクセントと似た言葉に、「イントネーション」があります。
両者はどう違うのでしょうか。
「アクセント」は、単語ごとに地域単位で決まった音の高低です。
一方、「イントネーション」は、話者が伝えたいことによって使い分けられる高さのパターンです。
例えば、「お菓子を食べる」という文を考えてみましょう。
文末を上がり調子にすると、疑問文になります。
このように、伝えたい事柄によって人はイントネーションを変えているのです。
イントネーションについては、次回の記事で詳しく説明します。
【日本語アクセント】アクセントの4パターン
次に、アクセントの分類について見ていきます。
アクセントには地域差があるのですが、今回は東京のことばでみていきます。
頭高型 | 尾高型 | 平板型 | 中高型 |
ごはんが | おとこが | くすりが | あまぐが |
※以下『日本語という外国語』(荒川洋平氏著)を参考にしています。
頭高型:一文字目が高く二文字目以降は「が」も含めて低くなる。
尾高型:一文字目は低く二文字目以降が高くなり「が」のところでまた低くなる。
平板型:一文字目が低く二文字目に高くなり「が」のところでも同じ高さを保つ。
中高型:一文字目は低く二文字目に高くなるが単語が終わるまでにまた低くなる。
(この場合の「一文字」は、小さな「ゃ」「ゅ」「ょ」を「しゃ」「ちょ」「きょ」など前の文字と併せて一文字とみなします。)
実際に上の表の例を発音して確認してみてください。
このように、単語にはそれぞれアクセントが定められているのです。
【日本語アクセント】アクセントの地域差
アクセントには地域差があります。
その例を見てみましょう。
【日本語アクセント】京阪式アクセント
いわゆる「関西弁」のアクセントです。
東京方言にはない、単語が低く始まるか、高く始まるかの区別があります。
関西の中でもアクセントに差があります。
例えば『日本語音声学入門』(斎藤純男氏著)には以下の例が掲載されています。
・高く始まり下がらない例:ともだち
・低く始まり下がらない例:しんぶん
・高く始まり下がる例:ひとかげ
・低く始まり下がる例:いろがみ
(高いところは赤色、低いところは青色)
【日本語アクセント】宮崎県都城市のアクセント
宮崎県都城市では、語の一番最後の音節が高いというパターンしか存在しません!
花も鼻も「は」が低く「な」が高いのです。
アクセントによって語が区別できないため、
「固定アクセント」と呼ばれます。
【日本語アクセント】熊本や仙台のアクセント
熊本や仙台では同じ一つの語がさまざまな高さで現れ、語によってアクセントは決まっていません。
したがって、熊本や仙台の方言にはアクセントがない、「無アクセント」の言語と言えます。
【日本語アクセント】いろいろなアクセント
ここで、世界のいろいろな言語の「アクセント」について見ていきましょう。
【英語アクセント】英語のアクセント
英語にもアクセントがあります。
高校生のころ、センター試験の「アクセント問題」に苦しんだ人も多いのではないでしょうか。
日本語のアクセントは「高さ」が決まっているので「高低アクセント」と呼ばれます。
一方、英語のアクセントは「強弱アクセント」です。
たとえば ‘apple’という単語は ‘a’のところが強くなっています。
‘suspect’という単語は少し面白いです。
名詞の「容疑者」という意味で使うときは前にアクセントを置き、動詞の「疑う」という意味で使うときは後ろにアクセントを置きます。
このように、同じ単語でも品詞によってアクセントを変えることがよくあります。
【中国語声調】中国語の声調
中国語にある声調も高さを変えて表します。
しかし、中国語は同じ一つの音節(ひとまとまりの音)の内部で高さが変わるのです。
有名なのは、maです。
同じmaという音でも、高さを変えずに発音するとお母さんという意味になり、低く抑えるように発音するとウマという意味になります。
声調も広い意味でアクセントの一種ですが、日本語では一文字の中で音の高さが変わるということはありません。
したがって、日本語に声調はないということになります。
【日本語アクセント】まとめ:日本語はアクセントが大事
日本語は高低のアクセントを重視していることがわかりましたね!
地域や言語によって全然違うアクセント。
あなたの地元のアクセントについて調べてみるのも面白いかもしれません。