¡Hola! ¿Qué tal?
冠詞って難しくないですか??
日本語にない概念だし、意味も抽象的でつかみにくい…
ということで、冠詞についての総まとめをやってみようと思います!
今回はガッツリとした説明が多くなるので、初めての方は定冠詞と不定冠詞の記事も併せて読んでみてください。
スペイン語の冠詞
スペイン語の冠詞には定冠詞と不定冠詞の二つがあります。
また、そのどちらも付かない無冠詞の場合もあります。
冠詞の中でどれが選択されるかは、
文脈や情報の焦点に大きく左右されます。
以下の解説はあくまでその選択の補助となるであろう要素を説明するもので、すべての事例をカバーするものではないことをあらかじめご了承ください。
【スペイン語】冠詞の基本的な意味
まず、それぞれの冠詞の基本的な意味を解説していきます。
冠詞には「個体化」という機能があります。
名詞はあくまで概念を指すもので、個体の存在には言及しません。
そこに冠詞が付くことで、
その名詞は概念から存在する個体へと変化します。
そして、存在する個体になった名詞は、
定か不定かで区別されます。
それが定冠詞と不定冠詞の違いです。
定と不定の区別は「ただ一つに決定されるか」によってなされます。
まとめると以下のようになります。
定冠詞:話し手と聞き手は「全く同じもの」を思い浮かべている、と話し手が判断した。
不定冠詞:話し手はその名詞が表すものの中から一つを任意で選択した。
聞き手はどれが選ばれたか了解していないことが多い。
無冠詞:具体的な言及を一切持たず、漠然と概念について話した。
例:
Tengo el bolígrafo.
―(相手も分かっているであろうあの)ボールペンを持っている。
Tengo un bolígrafo.
―(どんなものか相手は分からないだろうけど、ある一本の)ボールペンを持っている。
Tengo bolígrafo.
―(具体的なあれというわけではなく、ただ)ボールペンを持っている。
このように、日本語で同じように訳せる文でも、冠詞に注目すると意味の違いがはっきりします。
【スペイン語】冠詞の様々な用法
ここからは、和文西訳を例に様々な冠詞の使い方を見ていきます。
①私はウェイトレスです。
―Soy camarero.
職業や身分は無冠詞で使います。
これは職業や身分を表す名詞がカテゴリーを表していて、具体的な個体を指しているものではないからです。
カテゴリー、つまりは概念を表すものであるので無冠詞になります。
②私はスペイン語を勉強します。
―Estudio español.
国語名が無冠詞で現れる典型的な例です。
hablar, estudiar, aprender, enseñarなどの目的語になる国語名は無冠詞で使われます。
無冠詞なので漠然と概念に言及しています。
③スペイン語は難しいですか?
―¿El español es difícil?
定冠詞の総称用法の典型例で、その名詞が指す概念全体を指示しています。
この総称の用法は「~というもの」と訳すことができます。
②との使い分けに注意しましょう。
④あなたはペレスさんですか?
―¿Es usted el señor Pérez?
敬称のついた人名には定冠詞がつきます。
敬称にはseñor(a), profesor(a)などがあり、名字に付けます。
例外としてdon/doñaという敬称もあり、これには定冠詞は付かず、名字ではなく名前に付けます。
⑤トーレスさん、お元気ですか?
―Señor Torres, ¿cómo está?
④では敬称付きの人名には定冠詞が付くと言いましたが、
今回のように呼びかけである場合には無冠詞で用います。
この使い分けは注意しましょう。
⑥机の上に一冊の本がある。
―Hay un libro en la mesa.
不定冠詞の基本的な用法で、
「ある一冊の」という意味になります。
机の上にあるのは概念ではなく個体としての本なので無冠詞にはなりませんし、話者と聴者の「共通理解」がないので定冠詞にもなりません。
⑦パーティーはいつですか?
―¿Cuándo es la fiesta?
これは上の項で説明した、
定冠詞の基本的な用法の例です。
話者と聴者はすでにパーティーがあることを知っていて、その日取りを聞いているわけです。
常識的に考えて、この世に多数あるパーティーの中から一つ取り出して、その日付を聞くことなんてあり得ませんし、パーティーという概念の固有の要素として日付が存在しているわけでもありません。
⑧彼女には素晴らしい両親がいる。
―Ella tiene unos padres estupendos.
この不定冠詞は強調の用法です。
形容詞などの修飾語句を伴う名詞で、
限定の意味を持たせたいときは不定冠詞がつきます。
定冠詞じゃにゃいのか?
確かに一組しか存在していませんが、
los padres estupendos ではダメです。
ネイティブ曰く、定冠詞をつかうと両親が彼女の身体の一部のように聞こえるそうです(→⑪)。
⑨冷たい水がほしい
―Quiero agua fría.
⑧と違い、形容詞が付きますが無冠詞です。
限定の意味を持たせたくないからです。
「喉が渇いた!水がほしい!」と思ったとき、具体的にあのブランドの水を何ml飲みたいと思うことってありませんよね?
このように
具体的な限定を伴わないときは、無冠詞で使われます。
⑩私は毎朝カフェラテを飲む。
―Todas las mañanas tomo café con leche.
名詞を(前置詞)+(名詞)で修飾するとき、
前置詞の後ろの名詞は無冠詞になります。
また、⑨のように限定を伴わないため、caféは無冠詞で使われます。
⑪私は喉が痛い。
―Me duele la garganta.
身体の一部を表すときは定冠詞です。
定冠詞だと判断できた人は多いかと思いますが、一つ注意すべき点があります。
それは
所有形容詞が使えないということです。
例えば、Me duele mi garganta.のようにmiを使って言うことはできません。
身体の一部は所有者が自明であるので、所有形容詞では説明がくどくなってしまうのです。
ただし、⑩のような
前置詞と共に修飾語句として働く場合は、
無冠詞になる規則が優先されます。
(e.g. Tengo dolor de garganta.)
⑫私は家にいます。
―Estoy en casa.
この文は慣用的な文で、
casaには冠詞は付きません。
こうした無冠詞になる熟語的な例は他に、
salir de casa―外出する
llegar a casa-家に着く
llamar por teléfono―電話をかける
などがあります。
⑬私は30分ほど前にここに着いた。
―Llegué aquí hace unos treinta minutos.
不定冠詞複数形unos/unas+数詞で、
「およそ、約」という意味になります。
⑭太陽は東から昇り西へ沈む。
―El sol sale por el este y se pone por el oeste.
これは定冠詞の唯一物の用法です。
太陽や方角はこの世にただ一つしか存在しないので、定冠詞が付きます。唯一物には他にも、季節や曜日、月日があります。
⑮今日は日が照っていて暑い。
―Hoy hace sol y calor.
動詞hacer+(天候を表す名詞)で、
天気や自然現象を表せます。
このとき、名詞は無冠詞になります。
ここでは、solは「太陽」ではなく「晴れている天候」という意味です。使い分けに注意しましょう。
〈総括〉スペイン語の冠詞
今回は冠詞の区別について勉強しました。
冠詞の用法には、基本的な意味から推測できるものもあれば、熟語的に決まっているものもあり、相当難しかったのではないでしょうか?
辞書で例文に多く触れる、文章を読むときは「どうしてこの冠詞なのか?」という視点を持つ、など冠詞に注目するクセをつけると上達が早いと思います。
スペイン語を勉強する上で冠詞は常について回りますから、じっくりと確実に習得していきましょう!
¡Hasta luego!