Irankarapte!
今回は、アイヌ語の人称接辞について学びましょう。
人称接辞は、アイヌ語の基礎の基礎となります。
頑張っていきましょう!
※この記事では、アイヌ語の沙流方言について扱います。
【アイヌ語】人称接辞って何?
アイヌ語と日本語の大きな違いの一つに、人称接辞があります。
人称接辞は独立語ではなく、
動詞や名詞にくっついて(接辞)
「私が」「私の」「あなたが」「あなたの」
を表す役割を持ちます。
人称代名詞の代わりを担ってくれているので、
「私が」「あなたは」等の人称代名詞は
特別な時、または強調したい時にのみ使います。
次に、単数形の人称接辞についてみていきましょう。
【アイヌ語】単数形の人称接辞
アイヌ語の単数人称接辞については、以下の表を見れば完璧です!
主格 | 目的格 | |
1人称単数 | ku= | en= |
2人称単数 | e= | e= |
3人称単数 | なし | なし |
4人称単数 | a=(2項動詞) (1項動詞)=an |
i= |
…はい、この表だけを見るとたくさん疑問が出てくると思いますが、順々に答えていきます!
1項動詞とは、
「~が歩く」「~がいる・ある」等、
主語しかとらない動詞を意味します。
2項動詞は
「~が~を釣る」「~が~を叩く」等、
主語の他に目的語を取る動詞を指します。
つまり、
1項動詞は自動詞、2項動詞は他動詞!
動詞によってくっつく人称接辞が変わる場合があります。
他言語では3人称まではよく耳にすることはありますが、4人称はなかなかありませんね。
アイヌ語の4人称には複数の意味がありますが、ここでお話すると長くなってしまうので、別の記事で詳しくお話します。
アイヌ語は文字を持たない言語です。
アイヌ語を学習する人はカタカナ表記、またはローマ字表記を使いますが、
人称接辞とその前後の単語を区別するため、
便宜上「=」マークを使っています。
文献によっては「・」を使用しているものや、
記号を使わないで表記するものもあります。
主格の表現
それでは、上の表を見ながら、次の文を書いてみましょう!
例題1:
私は東京から来ました。
使用語彙
~から:wa 来る:ek
できましたか?
答えは、
Tokyo wa k=ek.
アイヌ語の語順は、
所謂SOV型の語順です。
日本語とほぼ同じですね!
アイヌ語の人称接辞は助詞以外の単語に基本的につけることができます。
この場合、
「私は~来た」
なので、ekに1人称主格の人称接辞ku=をくっつけます。
注意!
この時、ku=ekにはなりません。
a、u、e、oで始まる単語の前では、
ku=はそれと融合し
発音・表記共にka、ku、ke、koになります。
この場合、ekに続くので、
k=ek
になります。
所有の表現
所有表現をする時は、
主格と同じ人称接辞を使用し、
名詞の前後にくっつけます。
次の文はどうでしょう?
例題2:
あなたの名前は?
使用語彙
名前:rehe
~はどのようにですか?:makanak an?
この文では、「あなたの名前」を表現するために、
2人称所有の人称接辞を使います。
答えは、
e=rehe makanak an?
となります。
ちなみに「私の名前は○○です」という時は、
慣用表現を使います。
○○ sekor ku=rehe an.
と答えると良いでしょう。
目的格の表現
例題3:
私の父は私を待つ。
使用語彙
父:mici 待つ:tere
この文の場合はどうでしょう?
答えは、
ku=mici en=tere.
となります。
できましたか?
【アイヌ語】人称接辞基礎のまとめ
①アイヌ語には人称接辞がある!
②人称代名詞は基本的に省いてOK!
③人称接辞を使う時、主格・目的格を意識する!
人称接辞の表を覚えておけば後で苦労しません(苦笑)
それでは!
apunno paye yan!