アイヌ語

【アイヌ語文法基礎】複数人称接辞

アイヌ語複数人称接辞

Irankarapte!

今回は、前回の記事「単数人称接辞」に引き続き、アイヌ語の人称接辞について学習します。

今回は複数形についてです。

※この記事では、アイヌ語の沙流方言について扱います。

【アイヌ語】複数形の人称接辞

複数人称接辞も、単数形と同じように、1人称、2人称、3人称、4人称の4つがあります

以下の表で見てみましょう!

主格 目的格
1人称複数・除外的 ci=(2項動詞)
(1項動詞)=as
un=
1人称複数・包括的 a=(2項動詞)
(1項動詞)=an
i=
2人称複数 eci= eci=
3人称複数 なし なし
4人称複数 a=(2項動詞)
(1項動詞)=an
i=

このような表になりました!

1項動詞と2項動詞について、そして4人称については前回の記事「単数人称接辞」でお話しましたね。

また新たな疑問はあるでしょうか?

1人称複数の除外的と包括的

ねこ学徒
ねこ学徒
1人称複数の、「除外的」と「包括的」って何にゃ?

アイヌ語の一人称複数には、

除外的複数:聞き手が含まれていない
包括的複数:聞き手が含まれている

この2種類があります。

聞き手を含むか含まないかで、人称接辞を変える必要があります。

上の表を踏まえて、以下の文をアイヌ語訳してみましょう。

例題1:アイヌ語に訳しましょう。

私たち(聞き手を含む)は魚を食べた。

(使用語彙 魚:cep 食べる:e)

できましたか?

答えは

cep a=e.

となります。

「聞き手を含む」とあるので包括的接辞を選択、
かつ「食べる」は2項動詞ですので、
以上のような答えになります。

以下の場合はどうでしょう?

例題2:アイヌ語に訳しましょう。

私たち(聞き手を含まない)は私のお兄さんと一緒に遊んだ。

(使用語彙 お兄さん:yupo ~と一緒に:turano 遊ぶ:sinot)

答えは、

ku=yupo turano sinot=as.

です。

このように、状況によって使う人称接辞を選択する必要があります。

複数人称接辞で注意するべきポイントは、
1人称主格のみです!

1人称目的格と2人称、4人称は単数形と同じように使用します。

3人称について

ねこ学徒
ねこ学徒
3人称に「なし」とあるけど、どういう意味にゃ?

アイヌ語には、3人称に当たる人称接辞がありません。

つまり、
3人称を表現するために、特別に人称接辞を使う必要がありません

例:
tanpe pukusakina ne.
これはギョウジャニンニクです。

kimunkamuy mokor.
クマが眠る。

amamecikappo amam e.
スズメが米を食べる。

このように、単語をSVO型に並べることで、
3人称の文を構成することができます。

【アイヌ語】複数人称接辞のまとめ

複数人称接辞基礎

①1人称複数には「除外的」「包括的」の2種類がある!
②1項動詞と2項動詞に注意!

これからもアイヌ語学習、引き続き頑張っていきましょう!

それでは!
apunno paye yan!

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ゆづ
ゆづ
東京外大ジャパ科4年。外大オケ元コンサートマスター。内閣府「世界青年の船」既参加青年。人と話すことが好き。趣味はポストカード集め。