TOEICの中では比較的やさしい問題が多いpart5。解きやすいため、1問20秒以内で正確に解き切って、part6やpart7に時間を回すのが重要と言われています。
しかし「もっと速く正確に解かないと・・」というプレッシャーから苦手意識を持ってしまう方も多いのではないでしょうか。
解くスピードにこだわるあまり、テクニック偏重になってしまうと、TOEIC全体の点数が伸びない原因にも・・!
本記事では、そんな状態を克服するための勉強法をお伝えします。
結論は、「テクニックはおまけ程度と考え、問題文を丸ごと使った丁寧な学習を重視する」ですが、より詳しく解説していきます。
特に、今までpart5の勉強をしてなかった方や、700点前後で伸び悩んでいる方にとってスコアアップにつながる内容です。ぜひ普段の学習に取り入れてみてください。
「TOEIC part5が苦手」「勉強しても伸びない」と感じがちな理由
はじめにTOEIC part5に苦手意識を持ってしまう理由にふれます。
これから学習されるという方も苦手意識を作らないために参考にしてみてください。
なんとなくで解いてきた
冒頭でもお伝えしましたが、TOEIC part5は他と比べると難易度が低いので、なんとなくで解いてきた方も多いのではないでしょうか。
しかし、なんとなくには限界があります。正答率は高まりませんし、迷って時間を使ってしまうことも多いでしょう。
そのため、まずは問題のタイプと解き方を知っておくと良いです。
全文を読まないで解答するテクニックも存在しますよ。
速く解くためのテクニックを重視しすぎている
問題のタイプや解き方を知るべきとお伝えしましたが、普段の勉強では「速く解答するテクニック」よりも「英語の基礎力を増やすこと」の方が重要になります。
テクニックは、英語の基礎力がないと使いこなせないためです。
もちろん、テクニックを知った直後はスコアを伸ばせるでしょう。
しかし、目標スコアが高くなるにつれ、難しい問題も正解する必要が出てきます。基礎力がないと難易度の高い英文を読み解けず、テクニックを使う段階までいけません。
TOEICは制限時間の厳しさから、本番で速く解くためのテクニックがピックアップされがち。
本番では速く解くためのテクニックは大事ですが、普段の勉強では1問1問を丁寧に理解することを忘れないようにしましょう。
苦手克服のためにまず知っておきたいTOEIC part5の特徴
では問題の特徴を確認しておきましょう。
TOEIC part5は、1つの英文の中に空欄が1ヶ所あり、そこに当てはまる単語やフレーズを選択するという問題です。
※TOEIC公式ページのサンプル問題を引用しています。
この形式の問題が30問用意されており、さまざまな文法や単語の知識を問われます。
時間について、900点以上を狙うなら1問20秒(30問で10分)と言われていますが、現在の実力や目標スコアに合わせて設定するのが良いでしょう。
part5を確実に得点源にしたい場合は、1問30秒(30問で15分)を目安にしても良いと思います。
TOEIC part5の解き方!穴埋め問題のコツ
続いて具体的な問題の解き方をご紹介します。
- 基本的な解き方
- 選択肢の品詞がバラバラの場合の解き方
- 選択肢の品詞が同じ場合の解き方
順番に見ていきましょう。
基本的な解き方
TOEIC part5に限らず、穴埋め問題は基本的に以下の2つのことをチェックすれば正解を選べます。
- 文法的に問題がないか
- 意味的に問題がないか
英語は、品詞がどの順番で並ぶかのルール(文法)が厳格です。そのため空欄に単語を入れてみて、文法に合わないものは消去します。
ただし文法上は正しくても、文の意味がおかしくなってはいけないので、意味的に合わないものを除外します。すると正解が分かるはずです。
この2つをチェックすれば正解にたどり着けますが、それだと本番は時間が足りなくなりがち。
そんなときに活躍するテクニックをご紹介します。
※900点以上を目指すなら、全ての文を頭から読み、正攻法で解き切る力が必要です。
選択肢の品詞がバラバラの場合
選択肢にバラバラの品詞や、時制がバラバラの動詞が並んでいる場合は、空欄の前後を確認して、文法のルールに沿った品詞を選びます。
実際の問題を見てみましょう。
※TOEIC公式ページのサンプル問題を引用しています。
この問題は選択肢の品詞が全てバラバラなので、空欄の前を見てみます。
すると、「are often unnecessarilly ______」のようにareというbe動詞があると分かります。
前にbe動詞がある場合は文法のルール上、空欄に来るのは名詞または状態を表す語です。
そのため、動詞である(B)complicatesと(C)complicateを除外。
さらにareの後には、数えられない名詞である(A)complicationは入りません。
残ったのは(D)complicatedのみなので、試験中ならこの時点で解答を確定させます。ただ今回は、念のため意味的にも問題ないか確認してみます。
「…devices are often unnecessarily complicated(デバイスは必要以上に複雑になっていることが多い)」
意味的にも大丈夫そうですね。
このように選択肢の品詞がバラバラの場合は、空欄の前後だけで解けることが多いです。
選択肢の品詞が同じ場合
選択肢に同じ品詞や、時制が同じ動詞が並んでいる場合は、文頭から読んで意味的に合致する選択肢を選ぶ必要があります。
こちらも具体的な問題を見ていきます。
※TOEIC公式ページのサンプル問題を引用しています。
選択肢を見ると全て形容詞ですので、問題文を頭から読んで、意味的に答えることになります。
実は「synthetic dyes(合成染料)」を知っている方なら、前後だけで解けますが、問題文を読み飛ばそうとするとかえって迷って時間がかかってしまうことが多いです。
そのため、自信がない場合は、選択肢の品詞が同じなら頭から読むようにしましょう。
TOEIC part5の苦手を克服する勉強法【5step】
ここまでは、テクニックをお伝えしてきましたが、普段の勉強ではもっと丁寧に理解するようにします。
具体的には次の手順です。
- 目標タイムを決める
- 時間を測った解く
- 時間を気にせず解く
- 解答解説を見て丸付け
- 根拠を言えるまで復習する
順にお伝えしていきます。
step1:目標タイムを決める
まずは、現在のスコアや目標スコアから1問あたりの制限時間を決めます。
例えば800点を目指す方なら、1問30秒(30問で15分)を目安にしてみると良いでしょう。
600~700点を目指す方であっても、他のpartとのバランスを考えるとpart5に使えるのは、15分~20分ほど。
そこで解けそうな問題には多少時間をかけても、難しそうな問題は飛ばすことで制限時間を守るのが良いかも知れません。
step2:時間を測って解く
いよいよここから問題を解いていきますが、当日焦らないように本番に近い環境を作ります。
具体的には、問題集の中にある問題を30問1セットで、先ほど決めた制限時間の中で解き切るようにしましょう。
このときにわからない問題や、自信がなくて当てずっぽうで解いた問題にはチェックを付けます。
step3:時間を気にせず解く
先ほど時間を測って、ひと通り解きましたが、それで終わりとせずに、今度は時間を気にせずじっくりと解いていきます。
はじめに解いたときに自信が無かった問題や、時間の都合で飛ばした問題に再チャレンジしてください。
こうすることで、時間制限のせいで解けなかった問題なのか、時間があっても解けなかった問題なのかが分かり、対策しやすくなります。
step4:解答解説を見て丸付け
問題集の解答解説を見ながら間違った問題には復習しやすいようにチェックを付けます。
ポイントは、正解になった根拠だけでなく、なぜ他の選択肢は不正解なのかも考えることです。
また、設問として取り上げられていない部分もしっかり理解するのもポイント。重要な単語や文法の知識が含まれていることが多いためです。
実際の問題を見てみましょう。
※TOEIC公式ページのサンプル問題を引用しています。
丸付けの際は、まずそれぞれの選択肢が正解もしくは不正解である理由を、次のように理解します。
「(B)合成の」は意味的に合うので正解。その他は「(A)即座の」「(B)リーズナブルな」「(C)推定される」で、dyes(染料)につながらないので不正解。
その次は、問題文を読んで理解できない表現や文法がないかを確認します。例えば、次の3点は頻出事項です。
- 「sold」は過去分詞の後置修飾
- 「be made from」は原料を表す表現
- 「and」は「is」と「contains」を並列に並べる
問題文には重要な表現が多く含まれているので、一文全体を理解して進むことで効率よく基礎力を上げられます。
step5:根拠を言えるまで復習する
step4までで問題演習はいったん終わりですが、チェックを付けた問題は、その日の終わりや3日後など定期的に復習します。
そのときに重要なのが、なぜこの選択肢が正解か、なぜ他は不正解か自分の口で説明できるまで仕上げること。
答えが分かったとしても、丸暗記してしまっていては本番に応用できないので丁寧に根拠を確認してください。
この手順で問題集を1冊終えれば、確実にスコアアップしているはずです。
TOEIC part5の勉強におすすめ参考書
最後に普段の勉強で使いやすい参考書をご紹介します。解説が詳しいものをピックアップしているので、まだ買っていないという方はぜひ参考にしてみてください。
『1駅1題! TOEIC L&R TEST 文法特急』
600点以下の方のメインテキストとしておすすめの参考書です。
本書の問題は、550点レベル、730点レベル、900点レベルと3つのレベルに別れているので、レベル別に実力を付けられるので挫折しにくいでしょう!
もし、いきなり問題を解くのに抵抗がある場合は、『世界一わかりやすいTOEICテストの英文法 』で基礎力を付けるのがおすすめです。
また、時間をかけずに対策をしたい700点以上の方にもおすすめします。
問題数が全部で153問と多すぎない点、音声での解説がついている点でスキマ時間を使って学習しやすいですよ。
『TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問』
本書もメインテキストとして使うのにおすすめです。
本書は問題数が1049問とかなり網羅性が高い参考書なので、時間をとって対策をしたい方にぴったり。
品詞問題、時制問題といったパターン順に学習をしてから、別冊で同じ問題を違う順番で解けます。
そのため、「参考書の順番で出されたら解けるけど、初見だと解けない・・」という状況になりにくいの良い点です。
ある程度文法の知識がある方が、いずれ満点近くまで文法の知識を高めたいなら『でる1000問』をおすすめします。
『総合英語 Evergreen』
『総合英語 Evergreen』はサブとして使用する参考書です。
文法事項が網羅されており、一つひとつがかなり詳しく書かれているので、メインテキストの解説を読んで疑問が湧いたときに辞書のように使えます。
『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のセンテンス』
TOEIC用の単語帳をお持ちではない場合、『金のセンテンス』がおすすめ。
DUOやシステム英単語といった受験で有名な単語帳でも対策はできますが、TOEIC特有の意味で使われる英単語などもあるので、基本的にはTOEIC用のものをおすすめします。
part5には単語やフレーズの知識を問う問題も4割近くあるので、part5の正答率アップにもつながります。
まとめ:TOEIC part5は問題文を丸ごと使った勉強法で苦手克服!
TOEIC part5の普段の勉強は、速く解くためのテクニックにはあまりこだわらず、基礎力を上げるために丁寧に進めるのがポイントです。
具体的には次の5つの手順になります。
- 目標タイムを決める
- 時間を測った解く
- 時間を気にせず解く
- 解答解説を見て丸付け
- 根拠を言えるまで復習する
特に重要なのは、丸付けの際には、解答根拠を理解すること、設問になっていない問題文中の文法事項や単語も理解して進むことでした。
このようにpart5を勉強することで、他のパートに回せる時間が増えて、全体のスコアアップにつながります。
ぜひ今回の内容を活用してpart5を勉強してみてください。