バスク語

【バスク語文法基礎】主格人称代名詞、助動詞IZANの用法

主格人称代名詞とIZAN

Aupa! Zer moduz?

今回の記事では、「私は~です」「あなたは~です」という表現を学びます。
この表現を用いるためには、主格代名詞と助動詞IZANを学習する必要があります。

バスク語でよく用いられ、基礎になるものですので確実に身につけていきましょう。

※ここで取り扱う文法は標準語である「統一バスク語(Euskara Batua)」とします。

まずは、人称代名詞から!

【バスク語】主格人称代名詞の特徴

ここでは、バスク語の主格人称代名詞の特徴について説明します。

主格代名詞

明解言語学辞典(三省堂)によれば、人称代名詞は、

話し手、聞き手、談話の中で話題になっているその他の対象を指示する代名詞

 

簡単に言うと、今回はその中でも主語に当たるものを扱います。英語でいうところの、“I”や“They”にあたります。

バスク語の主格人称代名詞

単数 複数
1人称 ni (わたし) gu (わたしたち)
2人称 zu (あなた)

hi(君)

zuek (あなたたち)
3人称 hau (この人)
hori (その人)
hura (あの人)
hauek (この人たち)
horiek (その人たち)
haiek (あの人たち)

※hiは家族など非常に親しい仲の人にのみ使用します。友人間でも基本的にはzuを使います

バスク語には「彼」「彼女」がありません。

基本的に日本語でいう「これ」「それ」「あれ」を用いて三人称を表します。
また男性女性などの性別による表現の差もありません。簡単ですね!

そして、バスク語の一番の特徴。

動詞が自動詞か他動詞かで主語の形が変化します。

※学術的には、このような言語を能格言語(Ergative–absolutive language)と言われます。

自動詞・他動詞とは?

まず、自動詞・他動詞を簡単に説明するのであれば

自動詞:目的語を取らない(英語でいうbe動詞、liveなど)

他動詞:目的語を取る(英語でいうhave、eatなど)

自動詞を用いる場合
「絶対格」
※上記の「主格人称代名詞」の表に書かれているものが「絶対格」です。

他動詞を用いる場合
「能格」 

バスク語では、必ずこの絶対格と能格の区別が必要になります。

作文をする時は、使いたい動詞が自動詞なのか他動詞なのかを必ず考えてみてください。

「能格」については別の記事で詳しく説明したいと思います。
まずは絶対格(自動詞を用いる場合)の主格人称代名詞の表を覚えましょう。

【バスク語】助動詞IZANの特徴

助動詞IZANとは、絶対格(自動詞を用いる場合)とともに用いられる助動詞のことです。

助動詞IZANの活用表

まずは、助動詞IZANの活用を見てみましょう。

 

単数 複数
1人称 naiz gara
2人称 (zu)zara

(hi) haiz

zarete
3人称 da dira

規則的で覚えやすいですね!

助動詞IZANの単独用法

助動詞とは、英語の“can”や“must”にあたるものですが、今回学習する助動詞IZANは少し異なります。

勿論英語の助動詞のように、ほかの動詞と用いることがあるので助動詞という扱いになりますが、IZAN単体でも用いることができるのが特徴です。

IZAN単体で用いると、英語の be動詞 に似た意味を表します。

例:
Ni Kepa naiz.
—私はケパです。

Zu Jon zara.
—あなたはヨンです。

Hura Itziar da.
—彼はイツィアルです。

Gu ikasleak gara.
—私たちは学生です。

Zuek euskaldunak zarete?
—あなたたちはバスク人ですか?

Haiek japoniakoak dira.
—彼らは日本出身です。

このように、IZANで主語の名前、職業などを表すことができます。

※一般名詞は主語が複数であれば複数で表記しますよ!形容詞も同様です。

主格人称代名詞の省略について

バスク語では基本的にどの文章にも助動詞を用います。この記事で説明した通り、助動詞は主語に合わせて活用されますので、主語を表記しなくても助動詞の活用から主語が分かる仕組みになっています。そのため、相手が誰の話をしているかわかっている場合や繰り返しの際は省略することができます。

例:
Ni japoniarra naiz. → Japoniarra naiz.
―私は日本人です。

Neska hau oso polita da. →Oso polita da.
―(この女の子は)とてもかわいいです。

まとめ:バスク語の自動詞を用いる場合の主格人称代名詞と助動詞IZANの単独用法は基礎文法!

バスク語基礎文法ポイント!

ポイント①:バスク語に「彼」「彼女」はない!

ポイント②:使いたい動詞が自動詞か他動詞かを意識する!

ポイント③:助動詞IZANは単独で用いると英語のbe動詞のような意味を表す!

ポイント④:助動詞の活用のおかげで、主語を省略することができる!

絶対格主語も助動詞IZANもこれからのバスク語学習の基礎となります。
覚えておくとこれから先が楽になりますので覚えてみてくださいね。

Gero arte!

ABOUT ME
ひまり月子
ひまり月子
東京外大4年。バスクの歴史と文化を勉強中。Vitoria-Gasteizに留学してました。